自然な笑顔は、お願いしても出てきません
「はい、笑って〜!」と言われて、心からの笑顔になれる人はそういません。特に緊張しているお子様や、撮影に慣れていないパパ・ママならなおさらです。
私たちが目指すのは、モデルのようなポージングではなく、「いつもの家族の空気感」を写真に閉じ込めることです。
そのためには、カメラマンが「撮る人」である前に、その場の空気を和ませることを仕事とする「サービス業」であることを自覚する必要があります。
1. 「笑ってください」は言わない
私は撮影中、お客様に「笑ってください」とは絶対に言いません。
大人の方はお芝居ができるので、作り笑いをしてくださいます。最低限としてはこれでいいと思います。
では子供の場合は?
- 会話から表情を引き出す: お会いした時からしっかり笑顔で挨拶します。その後も「今日、朝ごはんは何食べたの?」「ここまでどうやって来たんですか?」といった何気ない会話を大切にします。
- パパとママに協力してもらう: 私が笑わせるのではなく、パパやママにお子様へ話しかけてもらいます。親御さんの声を聞いた瞬間に見せるお子様の表情こそが、世界で一番優しい顔だからです。
- 「褒める」の魔法: 基本、褒めてください。ただし嘘はいけません。いいところを見つけて褒めてください。ポジティブな言葉を投げかけ続けることで、現場の温度が少しずつ上がっていきます。
七五三の撮影で、緊張しまくっているお子様に向かって「笑ってー」と言っている出張カメラマンを山ほど見てきました。
「笑って」というのは、こちらからの「押しつけ」です。それをこどもにしてはいけません。
笑ってもらうまでは行かなくても、緊張を解きほぐすことはカメラマンの仕事のひとつであると理解しておいてください。
自分では気がついていなかったのですが、「カメラマンさんはずっとニコニコしてますね。とっても楽しそう!」と何度も言われました。
こちらが笑顔でいること、楽しんでいること、それがお客様の緊張をほぐす大切なことだと、今では理解しています。
2. 「カメラマン」という壁を取り払う
レンズを向けられると、誰でも身構えてしまいます。
- 「撮るぞ」という殺気を出さない: 常にファインダーを覗きっぱなしにするのではなく、カメラを少し下げて、目を見て話す時間を作ります。
- 一緒にその日を楽しむ: 「綺麗な着物ですね」「今日は晴れて本当に良かったですね」と、ご家族の喜びに共感する。あなたが楽しんでいれば、その空気はお客様にも必ず伝染します。
私はこのような仕事をしているのにも関わらず、「撮られるのが苦手」です。
だから、撮られるのが苦手な方には、「わたしもそうなんですよ」とお伝えします。
そもそも、わたしは陽キャではないですし。笑
そうすると、少し心を開いてくださるなあと感じています。
3. お子様との距離感の詰め方
七五三などのお子様撮影では、まず「怪しい人じゃない」と認めてもらうことから始まります。
- 同じ目線で、同じ熱量で: 第2章でも触れましたが、まずはしゃがんで目線を合わせること。そして、お子様が興味を持っているものに、自分も本気で興味を持ちます。
- 仲良くなりすぎないバランス: 友達になりすぎて遊び始めてしまうと、記念撮影のような形を決める撮影が成立しません。とってもいい表情が撮れるので、いいことなんですけど!
だからそうなりそうな時は、記念撮影は早めに撮りましょう。
「格好良く/可愛く撮ってくれるおじさん・お兄さん」という絶妙な距離感を保つのがプロの技術です。
最高の表情は、信頼の先にしかない
技術的にピントが合っているだけの写真は誰でも撮れます。
でも、その家族にしか出せない「柔らかい光をまとったような表情」は、カメラマンとお客様の間に信頼関係があって初めて生まれるものです。
「写真を撮られた」という記憶ではなく、「家族で楽しくおしゃべりしていたら、いつの間にか素敵な写真が撮れていた」。そんな体験を提供することを目指しましょう。
お客様の「素」の表情を引き出す会話術を知りたい方へ
どんな言葉をかけ、どんなタイミングでシャッターを切るのか。 研修では、私が実際に現場で使っている「魔法のフレーズ」や、お客様との距離の詰め方をライブでお伝えします。
お客様の『信頼』に応えるために、カメラマンとしてのあなたが身につけるべき『確実な技術』の話をしましょう。
