プロであっても、失敗はゼロではない

 どれほど準備を尽くし、機材を二重に備えていても、想定外の事態は起こりえます。
 データの消失、機材の致命的な故障、あるいは自身の判断ミス。

 考えたくもないことですが、その「万が一」が起きたときに、あなたの「プロとしての本当の価値」が問われます。

 一番いけないのは、自分を守るために言い訳をしたり、隠そうとしたりすることです。
 ミスが起きたその瞬間から、あなたの仕事は「撮影」から「お客様の心のケア」へと切り替わります。

1. 「最速」で事実を伝える勇気

 問題に気づいたとき、心臓が止まるような思いがするはずです。
 ですが、報告を遅らせるほど、事態は悪化します。

  • 事実をありのままに: 何が起きたのか、現状はどうなっているのか。曖昧な言葉を使わずに、誠実にお伝えしましょう。
  • 誠意は声に宿る: メール一通で済ませるのではなく、まずは電話や対面で、あなたの言葉で直接謝罪すること。その一歩が、お客様の心の氷を溶かすきっかけになります。

2. 逃げずに「解決策」を提示する

 謝るだけではプロとは言えません。起きてしまったことをどうリカバーし、お客様の損失をどう補うか。具体的な提案が必要です。

  • 代替案の提示: 別日での再撮影、あるいは残っているデータでの最大限の編集、返金対応など。お客様が最も望まれる形を一緒に考えましょう。
  • 再撮影は「ギフト」のつもりで: もし再撮影をさせていただけるなら、前回以上の熱量を持って、お客様が「トラブルはあったけど、結果的に前回より良い思い出になったね」と言えるほどの全力を尽くします。

3. ミスを「仕組み」で改善する

 「次は気をつけます」という精神論だけでは、同じことを繰り返します。

  • なぜ起きたかを分析する: 機材の寿命だったのか、操作ミスだったのか、準備不足だったのか。
  • 二度と起こさないための投資: 予備機をもう一台増やす、SDカードの管理フローを変えるなど、具体的な「仕組み」として対策を講じます。それが、あなた自身の心の平安にも繋がります。

逆境こそが、一生の絆を作る

 不思議なことに、大きなトラブルに誠実に対応した結果、そのお客様が熱烈なリピーターやファンになってくださることがあります。

 それは、あなたが「良いとき」だけでなく「最悪のとき」にどう振る舞うかを見て、本当の人間性を信頼してくださったからです。

 私は今までに2000件以上の案件をこなしています。
 そうした中、納品関係のトラブルは経験していますが、再撮影になるようなケースはありません。

 再撮影に関することはほぼ想像になりますが、再撮影は「させていただけない」のがほとんどだと思います。
 それは、私への依頼に「xxでダメだったからお願いします」というケースが複数あるためです。

 まずは、ミスしないように最善の準備をしましょう。
 ミスをしないことは理想ですが、ミスをしたときに逃げないことは「矜持」です。

 誠実さという最後の砦があれば、あなたは何度でも立ち上がることができます。

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