期待のズレは、いつも「曖昧な言葉」から生まれる

 出張撮影において、トラブルの火種の多くは撮影技術そのものではなく、事前の「コミュニケーションの不足」にあります。

 「たくさん撮ってくれると思っていた」「もっと早く届くと思っていた」 、お客様が抱くこうした「期待」と、私たちが提供する「現実」の間にズレが生じたとき、それは不満へと変わります。

 プロとして大切なのは、優しさの裏側に、プロとしての「明確な基準」を持っておくことです。

1. 「たくさん」や「なるべく早く」を数値化する

 人によって捉え方が違う言葉を、できるだけ排除しましょう。

  • 納品枚数と納期: 「たくさん撮ります」ではなく「最低〇〇枚以上保証」、「なるべく早く」ではなく「撮影から〇日以内」と、数字で伝えることでお客様は心から安心できます。
  • 撮影の範囲: どこまでが料金に含まれ、どこからがオプションなのか。曖昧にせず、あらかじめ提示しておくことが、後味の良い取引の秘訣です。

2. キャンセル・延期規定は「思いやり」のルール

 特にお子様の撮影では、急な発熱や雨天による延期がつきものです。

  • 明確なルールを事前に提示: 「当日何時までの連絡なら延期無料」といったルールをあらかじめ共有しておきましょう。ルールがあることで、お客様は「申し訳ない」と過度に悩まずに済みます。
  • 自分を守り、お客様も守る: 曖昧な返答でその場を凌ぐのではなく、毅然とした、かつ温かいルールを提示すること。それが、プロとしての誠実さです。

3. 「できること」と「できないこと」を誠実に伝える

 お客様の要望に応えたい一心で、無理な約束をしてはいけません。

  • 撮影許可の確認: 「どこでも撮れます」ではなく、「お客様の方でご確認をお願いします」と、役割分担を明確にましょう。事前にこちらが問い合わせて「撮影OK」であっても、実は担当者によって回答が違うというケースは、複数回経験しました。そのため、撮影可否の問い合わせはカメラマン側ではなく、お客様にお願いしましょう。
  • 納品データの形式: 「スマホで見れますか?」といった細かな疑問にも、事前に「こういった形でお届けします」と視覚的に伝えておきましょう。撮影だけでなく、データやパソコンといったジャンルにも最低限の知識を持っておきましょう。

 以前に、画像データのファイルサイズと、撮影の画素数を誤って理解していたお客様と、トラブルのようになったことがあります。
 こちらが正確な情報をきちんと説明できたのでご理解いただけましたが、お客様側は素人の友人の間違った情報を完全に鵜呑みにしていました。
 こうしたケースから、自分自身を守るためにも、しっかりと知識をつけておきましょう。
 そうした裏付けがあれば、「できること、できないこと」にもはっきりとお答えすることができるようになるはずです。

信頼とは、約束を守り続けること

 約束を曖昧にすれば、守ることも難しくなります。
 明確な約束を交わし、それを一歩上回るクオリティで応える。このシンプルで誠実な積み重ねこそが、紹介やリピートを生む最強のマーケティングになります。

 「あなたにお願いして本当に安心でした」

 そう言っていただける関係性を、まずは言葉を整えることから始めてみてください。

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お客様の『信頼』に応えるために、カメラマンとしてのあなたが身につけるべき『確実な技術』の話をしましょう。

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