良い写真は「良い時間」の中にしか存在しません
お宮参りや七五三の主役は、あくまでお子様とご家族です。
私たちカメラマンは記録する役割ですが、撮影すること自体がその日の目的を追い越してはいけないと私は考えています。
私が守り続けているのは、「写真は二の次でいい」という考え方です。
これは、プロカメラマンである以前に、子を持つ親としての感覚を優先することを意味しています。
「せっかく予約したんだから、たくさん撮ってもらわないと」と焦るパパやママに対して、プロの立場から「今は少し休みましょう」「一旦撮影を止めましょう」と提案できるかどうかです。
そこに、プロとしての誠実さが表れます。
1. 撮影を止めることは、撮影のためでもある
特に赤ちゃんや小さなお子様の撮影では、予想外のことが次々と起きます。
- 安全と体調を最優先に: 夏の暑さや冬の寒さの中、お子様の顔色を見て「あ、少ししんどそうだな」と感じたら、少し休憩を申し出ましょう。実際の現場では、「そうなる前に『そうなるかもしれない』と予測して早めに対応しておく」ということが大切です。
- 無理やり撮っても、良い思い出にならない: 泣き止まないお子様を無理にあやして撮影するのは、お勧めしません。そんな無理をすれば、お子様が写真嫌いになるだけでなく、ご家族にとっても「大変だった記憶」しか残らなくなってしまいます。
2. 親御さんの「焦り」を安心に変える
お子様がぐずったとき、一番「申し訳ない」と焦っているのは親御さんです。
- 「大丈夫ですよ」と言える余裕: 「泣き顔も今しか撮れない大切な成長記録ですよ」と声をかけたり、一旦カメラを置いて「まずは抱っこして落ち着かせてあげてください」と時間をプレゼントしてください。
- 「余白」を大切にする: ポーズを指示するだけでなく、家族が自然に会話したり、あやしたりしている時間を大切にします。実は、そんな隙間の時間にこそ、最高の表情が隠れていたりするものです。
こうした時、カメラマンにできることは「待つこと」です。「ぼー」と待ってはいけません。ご家族の方は、お子様が泣き止まないことを心苦しく思っておられます。そのお気持ちを癒すような言葉がけをしましょう。
待つことができるように、時間に余裕を持ったスケジュールを組みましょう。それがお客様への誠意です。
3. おじい様、おばあ様への気配り、目配り
ご親戚が集まる現場では、周りの方への配慮も欠かせません。
- 全員が「今日来て良かった」と思える空気を: 立ちっぱなしが辛そうな方がいれば座れる場所を提案するなど、全員が無理なく過ごせるように気を配ります。ご家族全員が「良い一日だったね」と笑って帰れる空気を作りましょう。難しいことではありません。思いやりの気持ちを持ってください。ただそれだけです。
「また、あなたにお願いしたい」と言われるために
数年後に写真を見返したとき、「あの時のカメラマンさん、すごく気を遣ってくれたよね」と思い出していただけること。
それが、長くこの仕事を続けていけるプロが持っている「目に見えない対価」なのだと思います。
私の場合、お写真をお届けする前に「今日は楽しかったです。お写真を楽しみにしています」というお便りをいただくことが多くあります。
技術は練習すれば身につきます。でも、この「思いやり」を現場で実行するには、自分なりの明確な基準が必要です。
お子様をお持ちの方なら簡単です。ご自身のお子様への思いやりの気持ちもって、お客様のお子様を接してください。
人として、大人として、親として、小さなお子様に接することが、カメラマンである以上に大切なことだと私は考えています。
心にゆとりのある撮影を提供したい方へ
お子様との接し方や、親御さんに安心してもらう声の掛け方。 実践研修では、私が現場で何を優先し、どう判断しているのか、その基準をすべてお伝えします。
第2章 目次
お客様の『信頼』に応えるために、カメラマンとしてのあなたが身につけるべき『確実な技術』の話をしましょう。
