「最初の5分」で、撮影の成否は決まっている

 撮影現場に現れたあなたを見て、お客様が最初に抱く感情が「期待」か「不安」か。
 この分岐点は、あなたがカメラを取り出すよりもずっと前、合流した瞬間の「見た目」と「挨拶」でほぼ決まります。

 特に出張撮影は、ネット上の写真だけで判断して申し込まれた「初対面」のケースがほとんどです。お客様は心のどこかで「どんな人が来るんだろう」「怖い人だったらどうしよう」という不安を抱えています。

 その不安を瞬時に解き、信頼の土台を整えることについてお話しします。


1. 身だしなみは「安心感」というサービスの一部

 プロとして現場に立つ以上、自分の好みよりも「お客様がどう感じるか」を最優先にすべきです。

  • 「おしゃれ」より「清潔感」: 奇抜なファッションや、使い古して汚れた靴、手入れされていない髪や髭。これらはプロとしての信頼を著しく損ないます。
  • 神社の景観と行事に合わせる: 派手な色の服は、神社の厳かな雰囲気やお客様の着物の色を邪魔してしまいます。黒や紺、グレーといった落ち着いたトーンを基本としつつ、フォーマルな場にふさわしい「品」のある服装を選びます。
  • 「黒子」としての自覚: 私たちは主役ではありません。お客様を引き立て、かつ「この人に任せておけば大丈夫」と思わせる「プロのユニフォーム」を着用しているという意識を持ちましょう。

 総じて、現場でのカメラマンを見ると、「服装にこだわったカメラマン」ほど、カメラマンとして未熟だと感じます。(振る舞い、カメラの構え等見ればどの程度のカメラマンかはある程度分かります)

 公園等での撮影はかまいませんが、「お客様がフォーマルな服装をされる場に、カジュアルすぎる服装」はやめましょう。この日の主役はカメラマンではなくお客様なのですから。

2. 「最初の5分」が大切です

 合流した瞬間の挨拶で、その日の撮影の空気感は決まります。

  • 目を合わせて、はっきりと挨拶する: 「カメラマンのxxです。本日はおめでとうございます!」という明るく、かつ落ち着いた第一声。これだけで、お客様の緊張はかなり和らぐと思います。少し離れた場所におられる方にも、足を運んでしっかり目を合わせて挨拶しましょう。
  • 主役(お子様)より先に、大人を安心させる: いきなりお子様に近づくのではなく、まずは親御さんや祖父母様に敬意を持って挨拶します。大人があなたを「信頼できる人だ」と認識すれば、お子様もそれを見て安心し、自然と心を開いてくれます。
  • お子様との挨拶は目線をあわせて: 小さなお子様への挨拶は、しっかり屈んで目の高さをあわせましょう。保育士さんたちはいつも子供の目線の高さで話します。それと全く同じです。上から見下ろすのはやめましょう。これは撮影時に話しかける時も同様です。

3. 「準備」を見せることで信頼を補強する

 合流時点で、すでに撮影ポイントの下見が終わっていることも重要です。

 「先ほど見て回りましたが、あそこの光が今とても綺麗ですよ」という一言は、あなたがお客様のために事前に動いていたという「誠実さ」の証明になります。


信頼は、シャッターを切る前に作られる

 「写真は納品物で判断してほしい」というのはプロの傲慢です。

 撮影体験そのものが、お客様にとっては大切な思い出なのです。

 あなたが「安心できるプロカメラマン」として振る舞うことで、お客様は心置きなく撮影を楽しむことができ、結果として最高の表情が生まれるのです。

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